才太郎畑

日々の備忘録にしたい

2024年映画見たよ記録【3月】

 月1本映画を見よう企画、3ヶ月目。やはり目標があると見ようという意識が湧き……今月は2本。湧いたわりには普通。言い訳をすると、今月まで仕事が繁忙期だった上、原稿も並行していた(している)ため、気力体力共に枯渇ぎみで長時間映像に集中するのがつらかった。2月もメンタルの落ち込みがひどかったが、3月も引き続きダメダメだった。ただ、月末になってやっと春の陽気になってきたので今後は安定しそう。

 

 

君の名前で僕を呼んで』(2017/イタリア)

 アマプラにアカデミー賞受賞作品の一覧ができており、その中からろくにキャプション読まずに直感で見ることを決めた映画。映画に限らずドラマやアニメも、見ると決めたものはなるべく事前情報を脳に入れないようにしているが、少しは説明文読んだ方がいいと思った。

 避暑に訪れた北イタリアで、少年エリオと青年オリヴァーが出会い恋をするひと夏の物語だが、まず恋愛映画であることも、同性愛をテーマにしていることも知らなかった。夏の北イタリアの景色の美しさ、伴奏の綺麗さが良く、前半は特に時の流れがゆったり進み、物語的に大きな進展はないのになぜか飽きなかった。ただ、私がアセクシャルのためなのか否か、主人公エリオがオリヴァーへ恋慕を抱いていることにしばらく気づかず、中盤の初セックスシーン以降は集中が切れてダレてしまった。ずっとなんか距離感おかしいな?なんで??と思ってはいたが確証的な言動はなかったから……本来はここで淡い恋心を感じるシーンだったのかもしれないが、分からん……。多分恋愛ドラマが向いていない。

 しかし、息子が同性を好きになったことを真摯に受け止め、親として授ける父の言葉には感動して少し泣いたし、好きだったオリヴァーが結婚することを聞いて暖炉の前ですすり泣くラストシーンは美しく印象的だったし、アカデミー賞作品であることは納得、素敵な作品だと思った。とはいえまあ……自分にはあまりハマらなかったのは事実。

 

『ボーは恐れている』(2023/アメリカ)

 『ヘレディタリー/継承』(2018)『ミッドサマー』(2019)のアリアスター監督の最新作ということですごく気になっていたが、3時間もの長い間、逃げ場のない映画館で一人で見て耐えられるかが不安すぎて二の足を踏んでいた。その中、毎週聞いていた「ほら!ここがオズワルドさんち!」というラジオ(2023年3月惜しくも終了しました。泣)で、作家のせお先生が見たいと言っていた(このエピソード自体は映画全く関係ない話)のをきっかけに再度見たい気持ちが強くなり、私にアリアスター作品を推してきた友人を誘い映画館に足を運ぶことになった。友人も同じ理由で見るのを躊躇っていたという。我々がビビッているうちに上映館はどんどん減っており、わざわざ渋谷まで出向くはめになった。

 結論から言うと、不快。面白いより不快の感情が勝つ。何が悲しくてこんな天気のいい昼下がりの3時間をこの映画で無駄にしなければいけないんだ……アリアスターすごい、すごいよ。

 まず、とにかく長い。主人公ボーが実家に帰ってからアリアスター節というか、ちゃんとホラーっぽい流れになるがそれまでが長い。帰省できるまでにボーは荷物と鍵が盗まれ部屋がパリピ集団に乗っ取られる、天井に張り付いていたおじさんと風呂場でもみくちゃになって全裸で外に逃げたあげく車に轢かれる、フルチン殺人鬼おじさんにめった刺しにされる、自分を轢いた車を運転していた夫婦の家に転がりこむもいろいろあって命を狙われる、森で演劇やってる謎の集団に出会うも殺戮マシーンおじさんが追い付いて爆発してさらに逃げる……もう何???奇怪すぎる出来事は置いておいても、ボー、あまりにもタフすぎてびっくりする。常人だったら全裸で車に轢かれた時点で死んでるよ。

 そしてオチの後味が悪すぎる。いわゆる毒親の母を不意に殺してしまった後、ボートで海(湖?)に出ると、洞窟の中?の異空間スタジアムにたどり着く。そこでボーは母親側の主張だけが通るめちゃくちゃ不利な裁判にかけられると、エンジンが壊れボートが転覆してボーは溺死。静まりかえったスタジアムの映像にクレジットが流れ終わる。毒親に怯えるボーには共感できるが、子供とはいえ心ないボーの言動に何度も失望され続けたであろう母親の気持ちも、そうはいっても分からないわけではない……なんともいえない感情にさせられる、さすがアリアスター。しかし、『ミッドサマー』にあったようなある種の爽快感はなく、『ヘレディタリー』ほど、解像度の高さで胸糞悪くさせられるわけではない。上映後、友人と二人で首を捻った。シンプルに最悪な気分になった、というより釈然としない、という方が近い。誘ってごめん。

 爽快感はなかったと前述したが、最初の夫婦の家に拾われるボーには少し癒された気がする。私も人目をはばからず泣いてみたい、優しく受け入れられたいと思って泣きそうになった。まあそんな上手くいくはずもなく、ボーは命を狙われて飛び出すはめになるし、友人には「あの夫婦めっちゃ気持ち悪くない!?!?」と言われたし、自分自身も異常であることは分かっているんだが。思っているより疲れているのかもしれない。

 今作も、確か『ヘレディタリー』も屋根裏に化物がいるという展開があったように思うが、屋根裏は監督の中で何かトラウマでもあるんだろうか。今作の屋根裏の化物は、私が最近ペルソナをプレイしていたせいでどうしてもマーラ様にしか見えず、その後のシーンにしばらく集中できなかった。知らない人は一回ググってほしい。だいたいあれだから。

 

今月のまとめ

 累計視聴数・・・2本

 

 目標は達成したけれども、どちらの作品も個人的にはあまり刺さらなかったので満足感は薄い。来月に期待。

 来月は金ローで『すずめの戸締まり』をやるとのことで見ようと思っている。新海誠監督作品、一応『君の名は』と『天気の子』は見たんだが、正直作風は好きじゃない!ごめん!女性に対するまなざしがエロスケベ文脈なのでノイズになる。だが今作は震災を描いているとのことで、ポスト3.11作品としての興味深さと不謹慎ながらパニック映画的な期待を込めて気になっていた。あと、ついに今月『オッペンハイマー』が上映開始となり、フォロワーたちと見に行く計画がぼちぼち固まりそうなので来月も2本予定です。